富士登山攻略のキーポイント①~高山病対策~

3,000mを超える高い山に登る場合、よく聞く病名が「高山病」。
この高山病を回避することが富士登山攻略のキーポイント!
どんな病気で、どう対処すればいいのかを紹介します。

高山病って何?

高山病とは、高地では気圧が下がり空気が薄くなり、それに応じて空気に含まれている酸素の量も減ります。

身体がそのような環境の変化に順応することができず、いくつかの特徴的な症状が出現した場合は、高山病と診断されます。

通常、個人差やその時の体調にもよりますが、標高2,500mくらいから発症する可能性があります。富士山では大体、6~7合目以上にあたります。富士山の頂上付近では酸素濃度は平地の半分程度になると言われています。

早く対処をすれば重篤な症状は防げるので、素早い判断と対応が大切です。

高山病の症状

主な症状としては、頭痛(頭が重い、鈍痛、頭を振ると痛い)、食欲不振、吐き気、嘔吐、眠気、チアノーゼ、全身倦怠感、虚脱感、めまい、朦朧感、睡眠障害、あくび、むくみ(頭、手、足など)、胸の圧迫感などが挙げられます。

高山病になる確率は、標高2,500m以上の高山に急激に登った場合、25%の人に上記に記述の症状が3つ以上あり、3,500mではほぼ全員に現れると言われています。

高山病の予防

●ゆっくりと高度を上げよう(高地順応)
五合目に到着したら、登山開始までゆっくり身体を高所に慣らしましょう。30分から1時間ほどゆっくりと過ごすと身体が高度に順応してくれるので高山病になりにくくなります。到着してすぐに登り始めるのはNGです。
●ゆっくりしたペースで登ろう
ゆっくりと身体が高所に順応できるスピードで登っていくことが大切。歩幅を小さく、あまり足を持ち上げず、ゆっくりのんびりしたペースで登りましょう。体力温存できるメリットもあります。
●しっかりと深呼吸をしよう
薄い酸素に身体を慣らすために深呼吸は大事。深呼吸は吸うことよりも、ゆっくりと深く息を吐くことを意識しましょう。意識して大量に空気を吸い込むためにも、腹式呼吸を心がけるといいでしょう。呼吸が乱れた場合は、ゆっくりと多く深呼吸して呼吸を整えましょう。
●水分をたっぷり取ろう
高度が上がると乾燥するので脱水症状になり、血流が悪くなるため酸素を体にうまく運べなくなります。脱水症状にならないよう、こまめな水分補給を心がけましょう。
●身体を締め付ける服装は避けよう
リュック(ザック)の胸部や腹部のベルトなどは、あまりきつく締め付けないようにしましょう。体を締め付けると深呼吸がしづらくなります。腹式呼吸ができるようなゆとりを作りましょう。
●飲酒・寝不足は大敵!
寝不足、飲酒など前日の体調管理が重要。特に、アルコールを摂取すると呼吸が抑制されて、酸素を体内にうまく取り込めなくなります。高山病の原因になるので飲酒は控え、しっかり睡眠を取り、万全な体調で臨むように心がけましょう。
●鉄分を多めに摂取しよう
鉄分が不足すると、血中の「ヘモグロビン」が減少します。すると、吸った酸素をうまく体内に取り込むことができなくなります。貧血症状がある人は普段から鉄分の豊富な食べ物やサプリメントなどで摂取するように心がけましょう。
●慢性疾患のある人は主治医に相談しておこう
心臓や血管、脳などの慢性疾患、既往症があると高山病のリスクが高いといわれています。症状のコントロールなどを主治医に事前に相談しておくといいでしょう。

高山病の対処法

【症状が軽度の場合】
  1. 安静にして休み、回復を待つ

    症状を感じたら高度は上げずに休憩しましょう。酸素を取り込みやすくするため、横にならずにゆっくり体を動かすなどして深呼吸ができるようにしましょう。
    高度を上げて歩き始めるのは症状が回復してからにし、症状が改善しない場合は下山するなどして高度を下げましょう。

  2. 頭痛があり、解熱鎮痛剤を飲む場合

    頭痛があり、バファリンやアスピリン、アセトアミノフェンなどの非ステロイド系の解熱鎮痛剤を飲んだ場合、頭痛が治まっても頭痛の原因となる酸素不足が改善しているわけではないので、その場で安静にするかゆっくり運動をして、解熱鎮痛剤がなくても頭痛の症状がでなくなるまで高度を上げるのをやめましょう。

【それでも症状が回復しない場合】
症状が改善しない場合、そのまま上り続けると重症化してしまいます。高山病は高度を下げて酸素を多く取り込むと改善するので重症になる前に無理をせずに勇気を持って下山しましょう。